こんにちは、えびかにです。
最近小さな文字が見えにくくなっている私でも、天気予報に間違いなくおひさまのマークがついていたのだけはハッキリと覚えていた。
ところが、どこの誰の仕業か知らないがいつの間にか勝手に雲のマーク、いや、最終的には雪だるまのマークに書き換えられていた。
今回はそんなお話しである。
~回想~
『どうして来れないなら最初から言ってくれないんだ!』
ずいぶんと昔の話だ。
朝までお酒を飲んだ帰りに立ち寄った、繁華街の近くにある1階が喫茶店、2階が雀荘になっている老舗の喫茶店の片隅で、濃厚なエスプレッソを味わっていた私の耳に男性の大きな声が聞こえてきた。
その声のする方へ目をやると、奥のテーブルに座っていた初老の男性が20代後半と思わしき女性に詰めよっていた。
興味本位で聞き耳を立ててみると、事の次第は20代後半のスナックのチーママとアフターの約束をしていた男性(ターさんと呼ばれていた)が3時間の待ちぼうけを食らった挙げ句、結局現れなかった事に対して怒っているようだ。
チーママ
『だって帰ろうと思ったら団体のお客さんが来たんだからしょうがないじゃない!』
ターさん
『もうすぐ行けそう、もうすぐお客さん帰りそうだからと言うから期待して待っていたのに、結局来なかったじゃないか!』
そんなやり取りを聞きながら、
『3時間も待たされたんだな、かわいそうに・・』
と思いながら、ぬるくなったエスプレッソをグイっと飲み干して喫茶店を後にした。
あれから20年・・
天気予報は全て晴れ
年の瀬も押し迫る12月30日。
今日は年末の大寒波が来るという予報だったのだが、天気予報を見るとお昼以降はおひさま、夜もお月さまのマークがついており、その下にはハッキリ晴れと書かれていた。
『前日の買い出しに行ったスーパーで豚骨スープ鍋の素のコーナーに肩身の狭い思いをしながら1つだけポツンと置かれていた塩ちゃんこ鍋の素をそっと戻してあげたのを神様がちゃんと見ていたんだな。』
とほくそ笑みながらいそいそと車にキャンプ道具をを積み込んでいた。
『今日はタープを張って焚火にあたりながら今年一年を振り返り帰って一人でゆっくり過ごそう。今夜は星もさぞかしキレイに違いない。なんせ、昼の12:00から明日の午後まで天気予報はずっと晴れだったからな。』
と勇み足で向かった場所は岩倉ファームパークキャンプ場。
万が一に備えて、キノコテントにストーブを持ち込んで、鍋をつつきながら肉を焼くというプランBも用意してあるので、引きこもり体制は万全である。
その場合は外に出る気はさらさらない。
到着すると、かなりの風と少しの雪が降っていた。
『まあ、お昼からは晴れると天気予報に書いてあったしな。』
そう思いながら雪の降る中テントの設営を始めた。
昼食
ワンタッチテントなので30分程度で設営と荷物の搬入を終え、さっそく昼ご飯を食べる事に。
鬼うま極濃カレーラーメンと贅沢三種の握り鮨で軽くジャブ。
昼ご飯を食べ終えて外を覗いてみるも、まだ雪の止む気配はない。
雪もさることながら風が強い為、タープを張るのを断念。
それどころか先程よりも風と雪はどんどん勢いを増し、やがてそれは吹雪となり、
到着してたった1時間足らずでいきなりプランBが発動。
そういえば、昨日のスーパーで塩ちゃんこ鍋の素を元の場所に置いたと思っていたのだが、よくよく考えたらキムチ鍋の素コーナーに置いてきたような気がしてきた。
神様はやっぱりよく見ているのだ。
吹雪との闘い
外気温は1℃、風は風速6m、吹雪の勢いは衰える事をしらない。
雪の中で写真でも撮りたい所だが、傘をさしながら撮ろうにも大事なカメラが濡れるのもイヤだし、三脚の脚が泥だらけになるのもイヤだし、そもそもこんな吹雪の中でキレイな写真等まったく撮れる気がしない。
時計の針はすでに15:00を差していた。
『おかしいな、天気予報では12:00から晴れと書いてあったはずだが・・』
そう思いながらもう一度天気予報を見てみると、12:00からだったはずの晴れマークがいつの間にか18:00からに変わっていた。
『ま、まあ、山の天気は変わる事もあるだろう。星空の撮影がしたいのだから夜に晴れれば問題ない。』
そう思いながら、トイレ以外はほとんどテントの中で過ごす事3時間。
・・・
ヒマだ。。
ソロキャンプの醍醐味である、自然を満喫しながら、焚き火を楽しみ、写真を撮りながら、1人の時間をゆっくり楽しむ。
という4つのプランの内、最後の1つしか実現出来ていない。
というか、正確に言うと、最初の3つの副産物が最後の1人の時間をゆっくり楽しむ。に繋がるのである。
こんな事なら家でこたつに入ってミカンでも食べながら録画しておいたバカ殿の再放送でもみておけば良かったと激しい後悔の念が押し寄せる。
ここにはこたつもミカンもなく、志村けんもいない。
仕方がないのでテントの中でゴロゴロしながらダラダラ過ごすうちにあたりも暗くなってきたので晩御飯を食べる事にした。
今夜はいつも通りの簡単レモン鍋。
土鍋とシェラカップさえあれば他に洗い物が出ないのでソロでやるには十分だ。
頑張れば、土鍋と気合いでもなんとかいけるような気もする。
雪のチラつく中、年末に一人テントの中でストーブにあたりながら食べるソレはいつもの鍋でも一味違う物であった。
これを食べ終わった頃には雪も止んで満点の星空が拝めるに違いない。
なんせ、元々の天気予報は12:00から晴れと書いてあったが、もう19:00を過ぎているからな。
そう自分に言い聞かせながら夕食を終えた頃には、辺りは真っ暗になっていたので期待と不安が入り混じる中、テントのファスナーを静かに開けた。
・・・
ちくしょう。。
天気予報はどうなったんだ!
次の晴れマークはいつになったんだ!!
晴れる晴れるといいながらいつになったら晴れるんだ!!!
あの頃はわからなかったが、今なら『もうすぐ行けそう、もうすぐお客さん帰りそうだから』と3時間もズルズル引っ張られたターさんの気持ちが痛い程分かる。
何せ、すでに予定より7時間以上もズルズルと引っ張られている。
涙目になりながら震える手でもう一度天気予報を確認した私は自分の目を疑った。
あろう事か、先程19:00からだった晴れマークは一気に翌日の3:00からになっているではないか。
しかもそれまで雲のマークだった所が全て雪ダルマのマークにこっそりとすり替えられていた。
(ターさん、オレ、、15時間待ちだよ・・)
雪はかろうじて降ったり止んだりを繰り返しているが空は分厚い雲に覆われて、星等一切見る事が出来ない。
ポッキリ折れそうになった私の心を唯一支えてくるているのは、在りし日のターさんである。
そんな事を思い出しながら、
寝た。
このままでは心が持ちそうにないので、私は明日の朝3:00に全てをかける事を決心して、19:00過ぎに寝た。
深夜3:00
目覚ましのバイブに起こされて、予定通り3:00に目を覚ましてストーブに火を点けた。
三脚を取り出し、レンズヒーターに電源を入れ、冷たくなっていたレンズを温める。
外気温は-4℃。
程よく暖まった所でテントの外に出ると雪は止み、雲は所々あるがとうとう星空が姿を表した!
(ターさん、オレ、、やったよ・・)
と心の中で小さく呟いた。
しかし、ここでカメラ初心者である私の経験不足により大きなミス。
雪景色の中では月あかりを雪が反射してしまい、明る過ぎて星があまり見えないのである。
どうにか星をカメラに収めようと、シャッタースピードを遅くすると、昼間のような明るさの中に星があるという、なんとも不思議な写真になってしまった。
何はともあれ雪が止んだ事により、やっと写真撮影が出来る様になり、そのまま朝まで撮影に没頭する事が出来た。
日の出
冷えた身体を暖める為に、昨日の残りの鍋で朝ごはんを食べていると、テントに朝日が差し込んで来た。
その光に導かれるように外に出てみると、雪景色に反射した朝日がキラキラと輝いて、息を飲むような景色が広がっていた。
澄みきった冬空の下、東の空から昇る朝日と共に、小太鼓のリズムに合わせて誰かが『だいじょ~ぶだあ~』と言っているのが微かに聞こえたような気がした。
冬キャンプの装備は念入りに
今回は雪が降るとは全く思っていなかった為、寒さ対策だけで、雪対策や設営場所についても何も考えていなかった。
写真を撮る事ばかり頭にあって、せっかくの雪中キャンプを楽しむ事ができなかったのだ。
後から思えば到着した時、建物の近くに設営すれば雪や風の影響も和らいでいただろう。
風が強くなる前にTCタープを張っていれば焚火も出来たし、その下で写真を撮る事も出来たハズである。
大自然の前になす術もなく敗北した私は、この失敗を教訓にして次こそは!と雪中キャンプのリベンジを誓いながらキャンプ場を後にしたのであった。
以上、えびかにでした。
コメント
初めまして。
テントの中から降る雪を撮った写真きれいですね。きれいに丸く写った雪もハート形になってる雪もかわいらしくてついコメント入れてしまいました。
>masaさん 岩倉は気軽に行けるので、単独ソロに良いかもしれませんね☺️
3月くらいなら電源なしでもいけるかも!?