まだ寝ぼけて頭が働いていない状態だったが、答えはすでに決まっていた。
眠い目を擦りながら
『行くっ!』
と勢いよく答え、足早に洗面所に向かう。
鏡に写ったニヤニヤした顔を父さんに悟られないように冷たい水で勢いよく顔を洗った。
居間に行くと母さんはすでに食材の準備にとりかかっていて、父さんは車に荷物を積み込んでいる真っ最中だった。
昨晩『考えとく。』と言ったボクの気持ちはあっさりと見透かされていたようだ。
コロッケの入ってないパンを麦茶で流し込むと父さんの荷積みの手伝いを始めた。
『思ったより、沢山の荷物がいるんだね。』
『忘れ物をすると大変だから荷物は少し多すぎるくらいが丁度良いんだよ。』
そんなボクと父さんのやり取りを、台所にいる母さんがちょっと呆れたような顔で見ながらこう言った。
『そんなに持って行ってもどうせ使わないのに・・』
『使うから持って行くんじゃなくて、持って行ってからどう使うか考えるんだ!』
『はいはい・・』
荷積みもほとんど終わり、そろそろ出発という頃に
『今日は何処に行きたいんだ?山がいいか?海がいいか?』
と父さんが聞いてきた。