第十二回:タイミング
私はタイミングの悪い男である。
焼き肉でホルモンの食べるタイミングが分からず、脂身が溶けてしまった事は数知れず。
前を走っている車を風のように追い越してやろうと追い越し車線に行ったと思いきや、まさかの右折レーンだったがプライドが邪魔をして元の車線に戻るタイミングを失い、曲がりたくもない交差点を曲がった事は星の数。
これまで幾度となく逃したタイミングを数えればキリが無い中で、唯一の大成功は結婚のタイミングだけである。
そんなタイミングの神様からも愛想を尽かされ始めた私が頭を抱えているのは、キャンプのタイミングである。
私が住む広島県はGW明けから再開するキャンプ場もチラホラ出始め、数日後には緊急事態宣言が緩和されるかもしれないとの事。
そうと決まれば誰よりも早く人気のキャンプ場を予約しなければ!
と思ったそこのあなたはタイミングの悪い方です。今すぐそこの交差点を左折して下さい。
このご時世、緊急事態宣言が解かれたからと言って、すぐに遊びに行って良い物ではなく、あくまで緊急事態宣言という最高レベルの警戒態勢が緩和されただけであり、まだまだ今まで通り不要不急の外出はなるべく控えなければいけないのではないかと私は思っている。
更に今、世の中を取り締まっているのは銭形警部が所属していたインターポール、即ちICPOよりも巨大な自粛警察なる組織に全てを監視されており、この勝負は武術の達人同士の戦いのように、先に動いた方の負けである。
しかし、あまりにみんながキャンプに行きまくっている状態になってから重い腰を上げて予約したのではいささか遅すぎる気がするし、先走って早めに予約してしまえば自粛警察の餌食になる事は想像に難くない。
虎視眈々と最高のタイミングを狙いながらいつが良いかと思案しながら手を伸ばしたビールは4本目。
予約する時期の判断は個人の考え方の差による所が大きいと思うが、鼻歌が飛び出してしまう程酔いながら記事を書いている今は最悪のタイミングである事だけは確かなようだ。
どうぞよしなに。
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